いまでは、シニア層にとっては当たり前になってきている"終活"。
エンディングノートを使い始めたというシニアも少なくないと思いますが、エンディングノートだけが終活ではありません。ここでは、終活で欠かすことの出来ない「生前整理」のポイントについて、ベストファームグループ・一般社団法人東京シルバーライフ協会の代表理事・田口 克彦さんにお話をうかがいました。
本来、"終活"は、人生の後半を謳歌するための
準備であるべき、と考えています。
改めて、"終活"とはどういう活動なのですか?
私たちが考える終活とは、"終(つい)の暮らしを、
自分の尊厳をもっておくる準備をすること"です
ここ数年で、「終活」という言葉を耳にする機会が増えてきています。もともと終活が意味するところは、「お葬式とお墓に関して、生前に準備をしておく」という程度のものだったようです。しかし最近では少し定義が広がってきているようです。私たちも、終活とは何かとご質問いただくことが多々ありますが、それには「終(つい)の暮らしを、自分の尊厳をもっておくる準備をすること」とお答えしております。よく"終(つい)の棲家"などと言いますが、「終(つい)の暮らし」とは、人生の後半の生活のことです。その人生の後半の生活を、ご自身の希望に沿って不安を少なくし、尊厳をもって過ごすための準備こそが、「終活」だと考えています。
終活としての、具体的な準備とは?
身の回りの整理、財産・相続、生活環境の整理が三本柱です
「お葬式やお墓の準備」も具体的な準備のひとつではありますが、それ以外に「身の回りの整理(いまお持ちのモノの整理)」、また「財産・相続(財産処分をどうするのか)」なども取り組むべき準備です。これらは「生前整理」ということでもあります。こうした事柄をきちんと整理しておくことで、人生の後半における心配事を減らすことにつながると考えています。
「身の回りの整理」は、安全に暮らすためには不可欠です。シニアの方々は、ご自宅内の事故でケガをされるケースが少なくなく、その場所も、お風呂などより、実は「居間や寝室などの居室」なのです。ご自宅の中にモノが乱雑に置かれていると、それにつまずいて転倒事故につながるケースが多いのです。多くのシニアの方が、いつまでもご自宅で暮らしたいとお考えです。ですから、なおさら日常生活の場としてのご自宅の中をきちんと整えておくことは安全面で重要なのです。
「財産・相続」についての準備で大切なのは、様々に分散してお持ちの資産をできるだけ整理しておくことです。例えば銀行口座などをたくさんお持ちであれば、できる限り口座数を減らしておくことで、後々の手続きを簡素化できます。また、相続に関して遺言書を作成されることもおすすめしています。
そして3つ目の「生活環境の整理」とは、これから起こり得る事態をある程度予測し、法的な手続きを含めて、予め準備できるところはしておきましょう、ということです。
安心して、人生の後半を謳歌するためには、
「生活環境の整理」は、特に重要なポイントです。
「生活環境の整理」における重要ポイントとは?
病院や老人ホームを利用する際には"身元保証"が必要となります
すでに触れた通り、多くのシニアが「自宅で最期まで」とお考えです。不都合がない限り、自宅で生活したい。しかし、途中で病気やケガ、あるいは配偶者に先立たれて一人きりとなり、自宅での生活を続けることが難しくなることもあります。そうなった際、同居できる親戚などがいなければ、病気・ケガの場合は入院、健常の場合は老人ホームなどの施設へ入居することになります。
その時に問題になるのが「身元保証」です。病院や老人ホームに入るに際は、必ず身元保証人が求められます。すぐ近くに親しい親族がいれば問題はありませんが、たとえ親族がいたとしても遠隔地では身元保証人になってもらうのは難しいものです。身元保証人の大きな役割は2つあって、1つは「債務保証」、そして2つ目は「身柄引き取り保証」です。身柄引き取り保証には、ご本人が逝去された際のご遺体の引き取りも含みますので、たとえ親族がいらっしゃっても遠方で、危篤時のすみやかな対応が困難な場合は適任とは言えないのです。誰を身元保証人にするか、これは生前整理において、とても大切な問題なのです。
身体機能が衰えた時を考えると、"事務委任契約"が役立ちます
また、人生の後半に起こり得ることの2つ目として考えなければならないのが、「自分のことを、自分ではできなくなる」ことです。例えば、足腰が弱ってきて外出が困難になり、銀行などに行けないといった状況です。
こうした状況では、銀行手続きや公共料金の支払いなどについて、誰かに頼まなければなりません。そうした場合に有効なのが「事務委任契約」です。
認知症などにより判断能力が衰えたら、"成年後見制度"を活用します
さらには、認知症についても考慮が必要です。75歳以上のシニアのうち、3人に1人が認知症予備軍といわれる時代です。認知症を発症してしまうと、正しい判断能力が損なわれてきますので、「事務委任契約」では対応ができず、「成年後見制度」というものを活用することになります。後見人の役割は、ご本人(被後見人)の財産管理と身上監護の2つです。公共料金の支払いをご本人に代わって行ったり、ご本人の生活環境を整えたりします。
逝去された後の、スムーズなご供養や行政手続きのためには
"死後事務委任契約"が欠かせません
さらに、ご本人が逝去された場合には、ご本人の意向に従って、葬儀やお墓に関することや、ご逝去に伴って必要となる様々な行政手続きを代行して行うため、「死後事務委任契約」をしておくことが必要となります。
「死後事務委任」とは?
ご本人の希望に沿って葬儀などを執り行い、
各種の行政手続きなどを代行することです
「死後事務委任」とは、ご本人が亡くなった後の、様々な手続きなどを代行する委任契約です。生前にご本人が希望していた葬儀を、希望通りに執り行ったり、ご要望されていた納骨(墓)を行ったり、また各種の行政手続き(年金関係、介護保険、後期高齢者医療保険や、公共料金に関する各種手続きなど)を代行します。また、財産と相続人を確認して、財産を相続人にお渡しするというところまでサポートします。さらに、もし事前に遺言書を承っていれば、執行者として遺言を執行します。
必要になってからの手当てではなく、
予め一貫して準備しておけるのが、
私たちの「オーカスタイル」です。
身元保証→事務委任→成年後見→死後事務委任までを
一貫して手当てしておくことが肝要です
まずは健常のうちに「万が一、身体能力などが衰えた時」のことを考えて、身元保証や事務委任を準備しておく。さらにその後の認知症という事態を考えて「任意後見」を、さらにご逝去ということを考えて「死後事務委任」まで事前に手当てしておく。しかし、それらの事前準備をその都度、バラバラに手当てするのではなく、早い時期に決めておくことが大切です。これらの事前準備を第三者に頼むにしても、お元気なうちから人間関係を築ければ、安心して任せられます。私たちがご提供している「オーカスタイル」は、健常なうちに、「身元保証」「事務委任」「任意後見」、そして「死後事務委任」までを一貫して契約し、サポートするサービスです。こうしたサービスを利用することは、人生の後半を安心して謳歌する上では、とても有効であると考えています。
お子様などの親族は、そうしたサービスを利用するのを嫌がるのでは?
私たちのサービスは"転ばぬ先の杖"であり、
ご本人とご親族の安心のための"保険"のようなものなのです
中には、お子さん方が「自分たちがいるのに、第三者に委任するなんて」と反対するケースもあります。
そういう場合、私たちでは、ご本人とお子さん方を含めて面談を行います。その際に申し上げるのは、「オーカスタイルのようなサポートサービスを契約しておくことは、一種の保険のようなものだ」ということです。
私たちが提供するサポートサービスは、基本的にはお子さん方ができるのであれば、お子さん方がやるべきことです。しかし、いざそうした状況になった際に、お住まいが遠い、あるいは海外勤務中などの理由で、行うことができない場合もあるわけです。そのような「やるつもりではいたけれども、何らかの事情でやりきれない」という場合には、「私たちが、お子さん方に代わって、サポートいたします」ということです。そういうことをお話しすると、多くの方がご納得されます。
私たちのサービスを「転ばぬ先の杖」としてご活用いただければ、何よりだと思っています。
Interview
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- 田口 克彦 (たぐち かつひこ)
- 1959年生まれ。広島県出身。大学卒業後、大手損保会社での勤務経験を経て、現在は、一般社団法人東京シルバーライフ協会の代表理事を務める。
東京シルバーライフ協会
「東京シルバーライフ協会」は、ベストファーム司法書士法人、ベストファーム行政書士法人、 ベストファーム土地家屋調査士法人が構成する一般社団法人で、ベストファームグループの一端を担っています。高齢者の身元保証・任意後見に関する業務・死後事務委任に関する業務などのほか、遺言書の作成サポート業務などを行っています。
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋四丁目7番1号 RF‐2 ロックビレイ6階
※プロフィールおよびインタビュー内容は2016年3月時点のものです